恋する歌舞伎
百両を取り損なった道玄は、腹癒せに妻のおせつを折檻した挙句、隣でお兼とやけ酒を飲んでいる。

そこへやってきたのは家主の喜兵衛。

道玄の物と思われる着物の布を、犬がくわえて持ってきたので話を聞きにきたという。

しかもその布には血痕が付いているので、役所へ訴え出ようというのだ。

この布子は、まさに太次右衛門を手にかけた日に着ていた物。

返り血を浴びたために、縁の下に隠していたのだが、犬が掘り起こしてしまったのだ。

喜兵衛は玄関口で縛られているおせつに「このままでは殺される」と助けを求められ、話を聞くために連れて出て行く。

悪事を重ねた道玄は、すべて露見する前に急いで逃げようとする。

暗闇の中、お兼が捕らえられた隙をついて、うまく逃げ果せようとした道玄であったが、待ち受けていた捕手に捕まり、遂には降参をするのだった。

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