クロ * Full picture of the plan * Ⅳ



ハッとして走ってきた道を振り返っても路地裏は細い道が入り組んでいて何処を通ってきたのかさえわからない。



そんな中、ただ俺は純粋にひまへ疑問をぶつけた。



「……何があった?」



ひまが嫌う白を身につけ、それには赤黒いひまのものらしき血がつき、人為的に付けられている古い傷痕や痣。



たった一言、"何があったのか"という疑問だけが頭に浮かぶ。



「…琥珀。怪我、無い?」



俺の問い掛けには答えずに質問で返してくるひまは、その話には触れて欲しくないのだと視線で訴えてきていた。



…分かってはいたけど、このまま放っておくことはしてはいけない気がして、、



「…今すぐじゃなくていい。俺じゃなくてもいいから絶対に答えてくれ、絶対1人で抱えるな」



気がついたらそんなことを口走っていた。



…それは記憶を失ってから初めて、ひまに口ごたえした瞬間だった。



‥‥--コンコンッ



そんなことがあった日の夜中、寝付けないでいると控え目に部屋の扉をノックされた。



「?誰だ??」



ドアの前に人の気配を感じたが、その気配は琳でもひなでもひまでもない、感じたことのない気配だった。



「……俺。向日葵。」



「!!??ぇ、あ、あぁ。入っていいぞ」



少しの沈黙の後、ひまだと名乗った気配の主は間違いなくひまの声だった。



感じたことのないひまの気配は俺の勘違いと思い込むことにし、中へ招いた。



「…っ、!?」



ゆっくりとした足取りで入ってきたひまを見て思わず唾を呑んだ。



「お、まえ……、」



ひまの顔は痣や傷だらけで、黒髪だったはずの髪色が純粋な金色と俺みたいな赤色。



両方とも茶色がかっていた瞳は赤色に黒を混ぜたような赤黒い色と透き通る銀色。



着ているのもいつもの黒い長袖長ズボンではなく、半袖のパーカーワンピースで普通より更に色白な細い腕や脚も見える。



だがその腕や脚にも目を背けたい程酷い痣や傷、普段は服に隠れている場所は本当に元の肌の色がわからないくらい酷かった。


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