クロ * Full picture of the plan * Ⅳ

森本京 side




…葵絆が昏睡状態になってから、10日が経った。



午前中に、縫った傷口の抜糸を済まし、今は倉庫にいた。



同じように怪我をした雷と飛鳥も一緒にいる。



俺が気絶したあの日、2人とも臓器が傷ついてないか精密検査をしたが、大丈夫だったらしい。



未だに薄く痣は残っているらしいが、痛みはもう無いとのこと。



そして葵絆は……



あの日から今日まで、一度も目覚めていない。



かといって、容態が悪くなったわけでもない。



青星の下っ端たちには、葵絆は失踪した。と志が伝えた。



事故にあって、とかだと見舞いに行くことになる。



目覚める確率が極めて低いことも、伝えなければならなくなる。



…だから、葵絆が眠っている間は'失踪'だと嘘をつくことに決めた。



現在の青星に総長は不在、そして、あの楓も…



青星を辞めた。



あの日あの場に居た5人の下っ端も、楓と共に辞めていった。



何かあったのか。と他の下っ端に詰め寄られても、私情で辞めるということを貫いていた。



けど、俺たちにはなんとなくわかっていた。



尊敬する総長を、仲間を、目の前にいたのに守れなかったから後悔してるのだろう。



いや、後悔なんてもんじゃない。



恐らく'トラウマ'としてずっと心に刻み込まれていることだろう。



結局、俺たちは撃たれる瞬間を見ていなかった。



けど、俺たちより葵絆と百桃の近くにいたあの6人はバッチリ見ていたのだろう。



だから余計に俺たちより深い傷として残ったはずだ。



…そして俺たちも、



葵絆がいつ目覚めるかわからない中、ずっと総長不在の状態でいるわけにもいかない。



でも、俺たちが総長という肩書きを背負うには重すぎる。



……それならいっそ、四代目全員辞めてしまおう。



次の代に受け渡せば新幹部と共に新しい総長になる。



…だがそれも、そう簡単にはいかなかった。



なんせ、今でいう次期総長候補の楓がやめ、次期幹部候補に近かった5人もやめてしまった。



誰が総長に、副総に、幹部に、なるのか。



何日経ってもあの日のことが夢のように感じる俺たちには、そんな重要なことを決められるわけがなかった。



けれど、ずっとこのままにしておくわけにもいかない。



そして10日ぶりに俺たちは青星倉庫へと集まってきた。


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