クロ * Full picture of the plan * Ⅳ

朝比奈琥珀 side




ーーコンコンッ



??「おい、誰かいないか」



扉の外から低い男の声がかかる。



一瞬にして室内は静まりかえって、多数の視線が俺に向く。



琥珀「いる。入れば」



無愛想に言えば、音もなく静かに扉が開く。



直樹「、なんだ。揃ってんのか」



白衣を靡かせながら入ってきた直樹は無表情で一瞥する。



雷「木村…何しに来た?悪いが今は、」



あからさまに重い空気なのに気にしない直樹に苛立ったのか雷は出るよう促す。



対して直樹は堂々と言い放つ。



直樹「知り合いの見舞いにきちゃ悪いか?
それに、俺に用があるのは'お前らの方'だろう?」



神楽「あんたに用、?
…ていうか、知り合いの見舞いって……」



志「…お前、葵絆のこと知ってるのか!?」



…ああ、直樹は限りなく"あいつら"に近い存在だ。



"事情"を知らないまま、ただ"あいつら"のことを誰よりも知っている。



…ああ、本当に、いいタイミングで来てくれた。



これで俺は、"あいつら"を'知る'ことができる。



琥珀「…なあ、直樹。1ついいか」



直樹「なんだ」



琥珀「11年前、"あいつ"に新しい人格はできたか?」



直樹「…いいや、最後は12年前だ」



………ああやっぱり、俺の推測に'間違いはない'んだな。



"あいつ"はあの頃から、出会った頃から変わっちゃいなかったんだ。



琥珀「…ありがとう。それを教えてくれて。」



それだけで俺は'救われる'。



陽向「…直樹。俺たちが直樹に訊きたいことは一つだけ。直樹はひまたちのこと、どれだけ知ってるの?」



直樹「…どれだけ、とは答えづらい。
だが、少なくとも"あいつら"を知る誰よりも知っていると自負している。」



やはり無表情のまま、言葉を返す。



そして、白衣のポケットから"あるもの"を取り出し、俺たちに見せつけた。



'それ'をみて、円、志、雷、京、飛鳥の5人は大きく目を見開く。



雷「っ!なんでお前が'それ'を持ってんだよ!?それは!」



直樹「今朝、ここに来たらそこに置いてあった。
これは"百桃"のものだ」



"あるもの"



それは、ロック(ルーク)のシンプルな男用バナナバーベルと小さな箱に入っている青い石の月の形をしたピアス。



ロックは昔から元々あいつがつけていたものだが、月の形のピアスは見たことがない。



でも、その青い石…それには見覚えがある。



前に見た、幹部の証とかいうピアスと同じ石だ。


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