怖い短編集
昔の記憶
【昔の記憶】




「未来ちゃん、

あの旗が見えるところまで、

泳ごうよ」






私はそう言って、

あまり泳ぎが得意ではない

未来ちゃんの手を引いた。






「陽子ちゃん、私には無理よ。




私は、足がつかないとこでは

泳げないわ」






「大丈夫よ。




海なんてプールと同じよ。




陽子ちゃんだって、

この間、プールで25メートルを

泳ぎきったじゃない」






「でも陽子ちゃん、

私、海は怖いわ」






「未来ちゃん、大丈夫よ。




私がついているから、

もしものときは、

私が未来ちゃんを

助けてあげるから」
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