Die or Live deadly
第一章 ~幸せから~
この春、朽葉 樹乃は大学生になった。
やっと親から開放され、晴れて自由の身だ。
だが、樹乃にはある心配事があった。
それは中学校からの親友、白澪 翼咲と学校が違う事である。

「ボク、ツバサなしで生活出来るかな…」

そんな事をつぶやきながら、新しい自分だけの家の整理をする。
一人で使うには少し広めの部屋。家賃と場所が希望通りの物件だったが少し古い。ドアの立て付けが悪くトイレを使うのにひと苦労だ。

ダンボールから本を出し新しく買った棚にしまう。どれも思い出の深い本ばかりだ。
懐かしいな、と感傷に浸っているとまだ聞きなれないインターフォンがなった。

「はいはーいっいらっしゃい!」
「片付け、少しは進んだ?」

元気よくドアを開けると三つ編みで長い髪をまとめた白髪の少女、白澪翼咲が呆れたようにそう言った。

「進んだと…思う?」
「ううん、まったく?」

正解、と樹乃ははずかしそうに笑う。
樹乃はお姉さん気質な翼咲に頼りがちだった。それもあって今後翼咲が居なくて大丈夫か不安なのである。

「さっ、今日で終わらせましょ」
「が、がんばろー!」

翼咲は腕をまくり掃除に取り組む。
樹乃もそれに続いて先程の続きをする。
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