笑う門には福来たる!!
会うは別れの始め
誠十郎の行方がわからないまま



禁門の変

江戸から新しい仲間が加入

京に来て、二度目の正月

そして

山南の脱走、切腹

新選組が西本願寺に移転することになる



その為、山南の荷物を沖田が整理することになった

沖田本人は、荷物らしい荷物がなく

幹部の中で、唯一準備が出来ていた



沖田が部屋に入ると、山南の思い出が

次々に思い出された

押し入れの中も全て整理してあり

山南らしいと

沖田が微笑む


「あれ?これは、なんでしょう」


可愛らしい柄の小さな巾着袋

中に硬い感触

開けてみよう!と袋から取り出した

小さな木箱

蓋に〝誠〟と書いてあり

その字は、山南のものでないことは

沖田にわかること


蓋を開けると、中には

大人の髪と子供のうぶ毛が

赤い紐で二つが、綺麗な飾り結びで
収められていた


「これって、まさか……誠十郎?」



なぜ、沖田がそう思ったか


それは、誠十郎がいなくなったときから


数日に一度は、土方に誠十郎は……と

話し掛けに来ていた

必ず、散歩に出かけた後


木箱と巾着袋を持ち、土方の部屋へ走る


「ひーーーじかたぁさぁーーーん!!!」


あまりの大声に、部屋から顔を出す


「うるせぇ!!!」



「土方さん!!これ、見て!!」

木箱の中を見て

大人の髪に触れる

「誠十郎?」

「そうだと思います!
こっちは、土方さんのお子では?」

「これ、どうした?」

「山南さんが持っていました
ほら!散歩の後、やたら土方さんに
誠十郎がどうしてるかなぁって絡んでた
だから、近くにいるんですよ!!」

「これだけじゃ、どう捜していいやら」

「山崎君に頼みましょう!!
山南さんが一人で、誠十郎を匿っていたとは、考えにくいでしょ
山南さんと誠十郎の間に、誰かいるはずです」

「なるほど……頼んでみよう」



山崎があちらこちらで探るが

わからなかった

「山南さんの切腹の時に来とった
明里って天神も探りまして、同じお座敷に当たることがあっても、特に挨拶しか
しないようで、仲が特別良かったわけではないようです」




新選組が、西本願寺に移転が終わり



落ち着いた頃


原田の嫁、おまさが息子を抱いて遊びに来た

「繕い物やら、お手伝い出来ることがあれば、遠慮なく申しつけて下さい
誠十郎ほど、上手じゃないけど」


おまさの言葉に沖田が、食いついた


「おまささん!!
誠十郎を呼び捨てする仲なんですか?」

「ええ、子供の頃から知ってるから」

「誠十郎の事、知らなくて、仲が良かった方って、どなたです?」

「そりゃ、許嫁のお澄が一番の仲良しだったけど、もう一人お澄と仲良しのお里とは
いつも三人一緒の舞台に上がってました」

「おいおい…そのお里ってのは
今、島原で天神やってる明里か?」

「なんや、知ってるやない?」

「繋がりましたね」

「ああ」








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