落ちてきた天使
中に入ると、皐月も続いて入ってくる。
ガチャリとドアが閉じた音がした瞬間、後ろからずっと求めていた温もりに包まれた。



『あや……』

『っ、さつき……』



涙が溢れてくる。
次から次に大きな粒が目の淵から流れて、私の首に回る皐月の腕を濡らした。


皐月…大好きだよ……
離れたくないよ……

おじいちゃんとおばあちゃんになるまで、一緒にいたいよ……


この想いを言葉にすることはもう出来ないけど、私は多分一生、皐月を愛してる。



『俺が泣かせてるんだよな……ごめん』



声にならない代わりに首を横に振る。


皐月のせいじゃない。
私がもう少し大人で強ければ、この問題にも立ち向かっていけたかもしれないのに。

皐月が他の誰かを選んで一緒にいるところを見る勇気なんてない。

結局、私は尻尾を巻いて逃げるしか出来ないんだ。



『今日は朝まで抱き締めさせて』



皐月の涙交じりの掠れた声に、私は静かに頷いたーーー。







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