だって、キミが好きだから。


こいつは俺の心臓を何回壊せば気が済むんだよ。


やべえ、さすがにもう限界だ。



うつむく菜花のアゴに手を当てて上を向かせる。


潤んだ瞳がやけに色っぽくて、自分の中で必死にせき止めていたモノが溢れ出した。



「る、琉衣……っ?んっ」



キスをした途端、菜花が固まった。


けど、そんな菜花を気にしている余裕はねー。


ただただ、俺は菜花の小さな唇にキスを繰り返した。



「んんっ……る、い。好き……」



唇が離れた瞬間、菜花が甘い声で囁く。


最初は強張っていた体も、今では俺の背中に腕を回してギュッと抱きついている。



この体勢でんなこと言うなよ。


こいつはマジで……。


俺を煽るのがうまい。



「えへへっ」



「なに笑ってんだよ、バカ」



普通、んな時に笑うか?


こっちは必死でガマンしてるっつーのに、人の気も知らねーで。


けど、菜花の笑顔を見てたら許せてしまう。


マジで菜花バカだな、俺。



「ファーストキスだなって考えたら、なんだか恥ずかしくなっちゃって」



菜花の無邪気な笑顔が、今は胸に突き刺さった。


ナイフで突き刺されたかのように、ズキズキと激しく痛む。



ファースト……キス、か。


前にキスしたことを………そうか。


忘れたのか。


忘れた……。


忘れ……っ。


俺との間に起こったことを忘れていったら、この先どうなるのかなんて考えたくねー。


今は……今だけは考えたくねーよ。


言いようのない気持ちが込み上げて、泣きたくもねーのに涙が溢れて来る。


< 240 / 343 >

この作品をシェア

pagetop