だって、キミが好きだから。


今日はなぜか早く家に帰りてー。


普段の俺なら暗くなってからが楽しみな時間だったのに。


今は胸がいっぱいで、菜花との出来事を誰にも塗り潰されたくねー。


あいつといると、なんかこう心が綺麗になる気がすんだよなー。


新鮮っつーか、他の女にはないものを持ってるっつーか、とにかく癒される。


女に対してそんな感情を抱くのは初めてだった。



「ノリ悪いな。何かあったんだろ?ま、明日お前んち行くわ。じゃあな」



「絶対来んな」



真顔で言ってやったけど、朔真は聞く耳を持たずにニヤけたまま行ってしまった。



あいつだけはマジで、俺が何を言っても聞きゃしねー。


ま、慣れてるけど。



次は2週間後か。


『気が向いたら』なんて言ったのは、ただの強がりだ。


俺の返事はすでに決まってる。


けどさー。


そこで即答すると、がっついてるみたいでカッコわりーだろ。



本当はさっきだって、もっと一緒にいたかった。


けど。


こいつんち、門限とかありそーだなって考えたら思わずああ言ってた。


今まで、そんなこと気にしたことなかったのに。


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