ラッキー☆セブン
2
バイトを初めて何だかんだで1ヶ月。

辛い、、、。

接客ってこんなに大変なのか、、、。

これからレストラン行った時には
店員さんにもっと優しく接しよう、、、。

すでに根をあげてるけどここで辞めたら負けな気がする!とか言う謎の負けず嫌い発生しております。私の悪い癖その2だ。

メニューなかなか覚えないし同じミスしまくるし先輩に『昨日も言ったよね!?』って言われるし、、、。


自分の学習能力の無さにうんざりしてきた。

って、こんなんでへこたれてどうする。

よーし、今日も1日頑張るぞ!!!

と、お店の休憩室で自分に誓いながら着替えを終え、入りまであと10分かとスマホの時計を確認していると、ガチャっと扉が開いて誰かが入ってきた。

『はよーございまーす』

眠そうな顔をした20代前半くらいの男の人がすっと入ってきて私の腰掛ける椅子のふたつ先に座った。

あ、キッチンの方だ。

こないだちらっと見たとき男性陣の中心で話してて人見知りしなくていいなあとか私が勝手に思ってた人だ。

いつもはもっと元気なんだけどな。

朝弱いのかな。

『おはようございます、、、。』

とりあえず挨拶。

まずい、名前覚えてない。

自分の仕事に必死過ぎて自己紹介どころじゃなかった。

まず、このくらいの年齢層の方との絡みとか経験ないし、どう接していいものか、、、。

『松重さん。』

私が悶悶としている間に向こうが口を開いた。

真顔だけど怒ってるとかじゃないよね。

てゆうか、え、名前覚えてくれてる!?

自己紹介のタイミング失った、、、!!

どちら様ですかとか今更きけない、、、。

申し訳ないです名も知らぬキッチンの方、、、。

『あ、はい、、、!』

緊張で返事が小さくなる。

聞こえてなかったらどうしよう、、、。

めちゃくちゃ感じ悪いよね、、、。

『ホールどう?慣れた?』

少し穏やかな顔になった。

怖がらせないようにしてくれてるのかな。

『えっと、、、大体?は、、、はい。』

嘘つけ全然でしょ。

『大体?そっか』

そう言って彼は制服片手に更衣室へ向かった。

見ててそんなことないってバレるのに私バカだ、、、!!



数時間後。

『松重さーん、休憩入っていいよー』

『はい、ありがとうございます』

店長にお礼を言い、急いで休憩室に向かう。

ガチャ、バタン。

、、、、。

やらかした、、、。

ああああ、今日も盛大にやらかした、、、。

しかも、オーダーミスった、、、。

しかもオーダー受けて作ったキッチンスタッフさん今朝話した男性だった、、、。


すみませんでしたって謝ったら、あ、はーい、、、って言われたけど怒ってるよね怒ってるよね、、、。


仕事慣れたとか嘘つくなし!!もう!!

その時扉が開いた。

『お疲れーっす』

!!!あの人が他の男性スタッフと入ってきた!

今朝と同じところに座る彼。

顔を見た途端申し訳なさが再び重なる。

最高に気まずい。

『お、お疲れ様です』

もっかい謝んなきゃ。

さっきはすみませんでした って。

『あの』

『松重さんさぁ。』

ふたりの言葉が重なって

私の小さい声がかき消された。


え、何なに何?

『はい、、、?』

ちらっと様子を伺うとしっかりと目が合った。

どくり。

心臓が鳴る。

何だこれ。

心臓が慣れてないものを感じる。

『左倉住みだよね?』

『あ、いえ、隣の右倉市から来てます』

『え、右倉から!?電車とかあんまないじゃん、右倉のどこ!?』

『谷多です』

『あー、!あの!右倉の北端にある何もないところね!』

へ、、、?

ちょ、何もない所って!!!!

初めて言われた!!!

確かに左倉に比べればド田舎ですよ!?

今通ってる左倉にある高校の友達にはあまり知られてない地名だし、同じ中学から通ってる人いないし!?!?

周りの男性スタッフが笑いながらちょっと言い過ぎだろって突っ込んでくれたけど。

ここまでどストレートに言ってくる人初めて過ぎて、、、。

何だこの人、、、。



変なの。



『ふふふ、、、そんな風に言ってくる人初めてですよ?』

思わず笑ってそう言った。

すると彼は少し優しい顔になった。

どくり。


何だろ、変なの。





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