好きに変わるまで
自己紹介
新学期ということでやはり始めは自己紹介から始まる。

「じゃあ、簡単に自己紹介を。
3D担任になった松原和樹だ。
面倒ごとは避けたいからお前ら一年間静かに過ごしてくれよー」


学校でも人気のある松原の自己紹介はなんとも先生とは思えないものだ。


しかし、そういう正直なところが好かれるのかな、なんて解析してみたり。

………いや、ただ単に顔がいいだけか。


クラスの子の自己紹介が始まる。
と言ってももう2年同じなためほとんど知っている子ばかりだ。

特に面白いこともなく、聞き流していると、隣の例の奴が立った。

「佐伯優でっす。みんな宜しく〜」

手をひらひらさせ、満面の笑みを浮かべている。

え、こいつこんなキャラだったの。
私と話した時と全然違うじゃん。

「………水谷汐奈です。よろしくお願いします」

納得いかないまま自分の自己紹介を終え、席に座る。


はぁ、と小さく溜息をつく。
ふと、頭に何か当たった気がした。
これは……消しカス?

ばっと横を見ると佐伯が口パクでバーカと言いながら投げてきた。
ほんとなんだよ!

私も負けじと投げ返してやる。
床は消しカスまるけになっているが、そんなのお構いなしだ。

「おーい、水谷、佐伯。
イチャイチャすんのは終わってからにしよろー」

クラスがドッと笑いに包まれた。
イチャイチャしてねえよ!

こんなんで一年私やってけるのかな……。


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