カラメルプリン
コンプレックスと金平糖
「葵、今日飲みに行かない?」

就業時間を2分過ぎた頃、同期で大学も同じだった宮原 歌穂が私のデスクへと駆け寄って来た。

「飲みにって…合コンなら行かない」

私の返事に可愛らしい唇を尖らせる。

「あのねぇ、私は葵の為に誘ってるのよ?私は貴斗さんと言う婚約者がいるんだから、合コンなんて必要ないんだから。この前、飲んだとき、彼氏欲しいなって言ったのはこの口でしょ!?」

私の頬を人差し指で突っつきながら、どの口が行かないって?とその指に力を入れてくる。

「痛いってば」

指をどけながら、そう言えばそんな事を言ったかも…と数日前の記憶を呼び起こす。
歌穂のマンションで浴びるほど飲んだときの事だ。
婚約者の貴斗さんの海外赴任の期間が半年伸びたとかで、ワンワン泣く歌穂をなだめつつ、二人で浴びるほど飲んだのは一週間位前。
あれだけ酔ってたのに、私の独り言みたいな呟きを記憶していた歌穂って、凄いと感心しながらも、覚えてなくていいのに…と心底思っていた。

「合コンなんて…面倒くさいし、私、残業だし」


さっき頼まれた残業の資料をピラピラと見せる。
ついさっきまでは、なんでギリギリに言うかなぁ!とか思ってた残業も、今は合コンを断るいい理由だ。

「なんで今日に限って~?」

普段は残業なんて滅多にない私を横目で睨みつつ、彼氏出来なくても知らないからね!と、まわりの席の人には丸聞こえな大きな声で言うと、はぁ~とため息をつきながら部屋を出ていった。

「咲坂さん、今日は合コンだったの?」

さっき、残業を頼まれた先輩社員の久世さんにそう言われて、

「違いますよっ、今のは友達が勝手に…」

と慌てて否定する。残っていた人達に彼氏を探している、みたいに思われている気がして居心地が悪い。

「彼氏いるかと思ってたけど、いなかったんだ。」

なんて久世さんの言葉にアハハ…と笑ってごまかす私。
何を基準にいると思ったんだろうかと考えながら、自分の考えてる通りなら悲しすぎる…と残業の資料に目を落とした。







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