好きだと言ってほしいから
 そう言って彼はもう一度、葵ちゃんを抱き寄せた。
 え? えええぇぇぇぇ!?
 私はあんぐり口を開け、言葉もなく二人を見上げる。声に出さなくても私が相当驚いていることは分かったらしい。葵ちゃんが肩をすくめた。

「そういうことなのよ」

 ペロッと舌を出して笑う葵ちゃんは、とても女の子っぽくて、私は可愛いと思った。

「麻衣、泣くぐらいなら、ちゃん我慢しないで自分の気持ちを伝えなさい」

 葵ちゃんはそれだけ言うと、私の背中をポンと押してくれた。
< 62 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop