Tell me !!〜課長と始める恋する時間
「へぇ……僕が駄目なら乾くんとね。」


課長はこちら側に向くとその長い足と手を組み、私に冷ややかな視線を投げつけた。


駄目だ。これは本気で怒ってる?


「あのっ、二人きりとかじゃないんです。他にも来る人がいて。」


「別に君がクリスマスの夜を誰とどう過ごそうが構わない。そんな事、僕にとっては取るに足らない。」


取るに足らないって……


そんな言い方しなくても。


「本当にただクリスマスの予定がないならってだけで特別な意味なんてないです。何より二人きりじゃないですし。」


「別に良いですよ。君が誰とどうしようが僕には関係ありませんから。昨日も乾くんと何やらあったようですね。だったら僕との事は解消しましょう。どうせこのまま三ヶ月過ぎても僕の気持ちに変化はありませんから。」


初めに言ったようにーーーと課長の言葉はまだ続き


「僕は恋愛に対してなんの期待もないですし、所詮、戯言だと思ってますから。」


どうしよう。完全に怒らせてしまった。


「では、そういう事で。ああ、お弁当もこれまでありがとうございました。お母様にその様にお伝えください。」


一方的に話すと課長は第三会議室から出ていった。ドアの閉まる音がやたらと重く響いた。


酷い。


ちゃんと話したのに。確かに課長が駄目なら乾くんって軽い女の様に聞こえるかもだけど、そんなんじゃないもん。


そんなんじゃないって言ってるのに。ちゃんと話を聞いてくれたって…ってもう何もかも遅いけれど。


だけど、課長がこんな風に怒るって事は少しは私を意識してくれてたってこと?


だからあんなにも怒ったの?いつだって冷静沈着な課長が露骨に嫌悪感を出した?


だとしたら、私は課長を傷付けた事になるのかな。それとも呆れさせたのだろうか。


何れにしてもこれじゃあ、課長は益々、本気の恋愛なんてしないよね。


本当にもう終わりなのだろうか。


こんな形で突然終わらせていいのかな。








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