Tell me !!〜課長と始める恋する時間
「ところで、年末年始、みんなどうすんの?」


雉原さんがお弁当を突きながら誰にともなく聞いてきた。


「俺は実家暮らしなんで別にこれと言って何も無いですね。桃原さんは?」


「えっ、ああ私も実家だから帰省したりとかはないかな。お祖母ちゃんちも比較的近いからお正月明けたら日帰りで挨拶行ってご馳走食べて帰るくらい。雉原さんはご実家ですか?」


「あんたねぇ、三十路過ぎた女がいつまでも実家うろついてられる訳ないでしょ?」


「そうなんですか?」


そういう話、聞いたりもするけれど私にはまだピンと来ないな。


「私も一泊くらいはするけど直ぐに帰る予定。三鬼も当然、何も予定ないでしょ?」


「ああ。」


既にお弁当を食べ終え片付けている課長に雉原さんが聞いた。


ひょっとすると大学の頃から課長を知っている雉原さんも課長の事情を多少なりとも知っているのかもしれない。


「という事で、」


「待て。」


雉原さんが言い掛けた言葉を課長が止めた。


「ちょっと何なのよ。人が折角、いい事思いついたのに。何で止めるのよ。」


女王様があからさまに不機嫌顔になる。


若干、会議室内の温度が下がった気がした。


「君の提案にはろくなものがない。」


冷たく言い切るスノーマン課長の一言で更にまた温度が下がる。


「はあ?ろくなものがないってどういう事よ?だったら、ちゃんと立証しなさいよ。何を持って言ってるのよ。なんの根拠もなくいい加減な事いわないで。」


「根拠がないと?良いだろう。いくらでも立証しよう。これまで君の提案によりどれだけの人が迷惑を被ったか。」


二人の視線が絡み火花ならぬ、冷気が惜しみなく吹き出されている。


さ、寒い。


恐ろしさのあまり、震えが止まらんのだけど。


「乾くん、ねぇ、何とかしてよ。」


「えっ、いいんじゃ無いですか?こんな課長、あまり見れないし面白いじゃないですか。」


「面白いって…あんたねぇ。」









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