生徒だけど寮母やります!2
「それにお前、男子寮Bがこの程度のことに屈すると思ってんの」
強気なライの発言に、景は顔を上げる
視線が合ったその瞳は、自分のそれとは違い自信に満ちているようだった
「なんで.....」
「もっとも、お前一人じゃ何も出来ねーだろーけどな」
「え.......痛い痛い!」
「足がコレだろ」
思い切り怪我した足をライに掴まれ、景はパシンと彼の肩を叩く
「わざとでしょ!」
そんな怒った表情にもフッと笑って、ライは景の顔を愛おしそうに見つめた
「お前の足の代わりは俺らだ。
お前が誰より最初に爽馬の事を信じるって言った時に、色々と気付かされた。
俺、結斗、咲夜、いっちー、爽馬。男子寮Bの俺ら2年生5人は、いる場所や置かれた状況は違っても、お前を軸に繋がってる。1年の5人も加わって.....俺らに怖いものはない」
景はわずかに口を開けたまま、言葉を聞く
『怖いものはない』
そうだ
この寮に縁あってそれぞれが集まったときから私たちは、一緒にいたら怖いものなんてなかった
個性はバラバラだけど、私たちはお互いを信頼して、手を取り合って今日まで生活してきたのだから
今この寮にいない爽馬も、同じ気持ちでいるのだろうか
「俺らの繋がりは、大人の誤算だ。ガキのこと甘く見てたら痛い目にあうこと、思い知らせようぜ。
だからお前は心配するな。今まで通り、俺らのことをちゃんと見てろ。軸がぶれてんじゃねぇ..........あぁでもお前、じっとしてられねー軸だったかな」
こんな状況で、まるで自分たちの勝利を確信したかのように言うライが、どうしようもなくかっこいい
誰よりもみんなを信じていたはずなのに
彼のみんなを信頼しているその思いが、景の心をぐっと引き締めた