生徒だけど寮母やります!2

「それにお前、男子寮Bがこの程度のことに屈すると思ってんの」


強気なライの発言に、景は顔を上げる


視線が合ったその瞳は、自分のそれとは違い自信に満ちているようだった


「なんで.....」


「もっとも、お前一人じゃ何も出来ねーだろーけどな」


「え.......痛い痛い!」


「足がコレだろ」


思い切り怪我した足をライに掴まれ、景はパシンと彼の肩を叩く


「わざとでしょ!」


そんな怒った表情にもフッと笑って、ライは景の顔を愛おしそうに見つめた


「お前の足の代わりは俺らだ。

お前が誰より最初に爽馬の事を信じるって言った時に、色々と気付かされた。
俺、結斗、咲夜、いっちー、爽馬。男子寮Bの俺ら2年生5人は、いる場所や置かれた状況は違っても、お前を軸に繋がってる。1年の5人も加わって.....俺らに怖いものはない」


景はわずかに口を開けたまま、言葉を聞く


『怖いものはない』


そうだ

この寮に縁あってそれぞれが集まったときから私たちは、一緒にいたら怖いものなんてなかった


個性はバラバラだけど、私たちはお互いを信頼して、手を取り合って今日まで生活してきたのだから


今この寮にいない爽馬も、同じ気持ちでいるのだろうか


「俺らの繋がりは、大人の誤算だ。ガキのこと甘く見てたら痛い目にあうこと、思い知らせようぜ。

だからお前は心配するな。今まで通り、俺らのことをちゃんと見てろ。軸がぶれてんじゃねぇ..........あぁでもお前、じっとしてられねー軸だったかな」


こんな状況で、まるで自分たちの勝利を確信したかのように言うライが、どうしようもなくかっこいい



誰よりもみんなを信じていたはずなのに

彼のみんなを信頼しているその思いが、景の心をぐっと引き締めた

< 254 / 547 >

この作品をシェア

pagetop