生徒だけど寮母やります!2

場がしんと静まる


ど う い う こ と ?


全員からのそんな視線を一気に浴びた景は、笑顔を引きつらせ


「いやいやいや」

と全力で何かを否定するように手を大きく振った


確かに、弁護士というワードに反応してすぐに脳裏をかすめたのはその話


そしてそれが自分だけではなく、ライと結斗も同様だったと知った時は肌が粟立った


でも.....


流石に無理があるのではないだろうか


「ただ話を聞いただけだよ?今結斗が言ったように、去年日向の実家に行った時、日向のお姉さんと叔母さんから、弁護士を目指していたけど、最後に夢を変えた生徒の話を聞いたの。本当にそれだけだよ」


結斗とほぼ同じことを言って説明した景に、ライが付け足す


「だからその他の手がかりは何もない。その人の名前も、どこにいるのかも、弁護士の免許を持ってるのかだって分かんねーよ」


「ええ.....じゃあ無理だよ」


ガッカリして肩を落とす満宵を見て景は


「あ、でも天才だったって言ってたから.....免許は持ってる可能性があるかも」


と呟いた


「あと.....保健室の先生が大好きで保健室に入り浸ってたとか、下の名前がどんなだった気がするみたいな事を言ってたよね」


結斗の言葉に、市河は考え込むような顔をする


「じゃあこれ以上姉さん達から情報は得られそうにないけど、次はその保健室の先生に聞いてみればいいんじゃね?」


あぁなるほど


納得したような顔で市河を見る全員に、景はフフッと笑ってしまった


「その間違い、私たちもしたの。彼女の頃の保健室の先生は今の先生じゃなくて、先代の先生。だからその人を探す必要があるよ」


冗談のつもりだった


しかし、そんな事を軽くやり遂げようとするのがこの寮だ


「じゃあ、探す?」

咲夜の言葉に

「おう」

と市河が笑う


みんなも顔を見合わせてうなずき合い

景は唇を小さく震わせた



あぁ、忘れてたよこの感じ


これが、この寮らしさだよね


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