生徒だけど寮母やります!2

気持ちの方向










* * * *





本当は苦しくても


誰にも言わない



自分の中に溜め込んで


自分で解決しなくてはならない



だって結局

誰にも人の事など分からないのだから


笠上美音は、そう思って生きてきた



高校1年生の頃


私立魔術妖術高等学校に入学してすぐ、出来損ないの狼女の姿を人前に晒した時から


私は「虐め」の対象だった


自分の本当の姿を受け入れてもらいたかっただけなのに


一番最初にクラスの女の子の笑い声がした時から、しばらく静かだったみんなも感染するように笑い出した



“失敗作”

“退学しろ”


そんな悪口がエスカレートして、人はただただ弱者に対する虐めを楽しんだ


元々私はか弱い女の子なんてキャラでもなかったから


自分なら耐えられると

屈する理由があるものかと



そう思ったけど


やっぱりダメだ

長すぎたよ



3年間も耐えられるわけないじゃないか



その時私はこう思った


自分のことを、理解してくれる人がいるところを探そう


初めから側にいる人たちが

はなから自分を理解してくれるなんてそんな美味しい話、いつでもあるわけないんだから


だから私は


高校3年の台風の日



学校を、家を出た



寮で働く両親にも

バカな姉と同じ高校を目指している可愛い妹にも何も言わず


「ごめん.....お母さん、お父さん.....景.....」


1人で生きて行くことを決意した
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