生徒だけど寮母やります!2

景はしばらくの間ただ爽馬の顔をじっと見つめていた


驚いたような、それでいて切なそうな表情



しかし突然背後からくすくすとした笑い声が聞こえ、ハッとして咄嗟に振り返る


「ふっ、あはははっ」

「ゆ.....結斗?」

「あーあ、これは後からこの場にいなかった咲夜が文句を言うなぁ」

「え」


確かに結斗の言葉通り、この場にいない二年生は咲夜ただ一人


「確かに.....」


相変わらず天性の不憫さを発揮している彼のことを思い出し、ライは微塵の哀れみも感じさせずに鼻で笑った

「何でこんな大事な時にいないんだよあいつ。仕方ねぇから特別慈悲として、優しい俺らが後で本人再現でもしてやるか。付き合えよ、爽馬」

「嫌だ」

「うわぁ.....最低」


爽馬の拒否と景の呟きもどこ吹く風


「お前らが咲夜すっぽかしてテレポートと霧で来たのが悪いんだろ」

分散チームが咲夜とは別だった市河の指摘にも、ライと結斗は目を合わせて肩をすくめる始末だ


「テレポートと霧は不可視だけど、あいつはな」

「いっちーだって、自分の神社の夏祭りで布浮遊事件なんて嫌だよね」

「嫌です」


景はまったくもって反省する気のない二人をルークと千冬と共にジトリと見た


ハイハイ.....

普段はいがみ合ってるけど、こういうときだけ口をそろえて上手いこと言うんだよなぁ(犠牲者はほぼ同じ)


しかしながら爽馬が以前のように、くだらない会話に入ってくれたことに気が付いていた


「爽馬、再現V作るからさっきのもう一回言ってくれなかな?」

「やだ」



そんな様子を見ていると、自然と笑顔になれて安心できた



もう大丈夫だ


きっともう、大丈夫

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