真夜中の恋人
3・再会と別れ
タカヤに溺れている自覚はあった。
このままでは、本当に彼から離れられなくなってしまう。

カフェでのことがトラウマになって、バイトすらしていなかったけれど、いい加減仕事を探して、自立できる準備をしなければ……。

今度は、事務職がいい。そうすれば、あんな思いはしないで済むと思うから。
どこか派遣会社に登録しようと携帯でサイトをチェックして、目に留まった一社に問い合わせメールを送信した。

フーッと息を吐いて、携帯をテーブルの上に戻した。

本当は、タカヤから離れたくない。
だけど、こんな生活をそう長く続けてはいられない。

彼に飽きられれば、そこで終わり。
そのときに、また途方に暮れてしまっては、彼から受けた厚意すら、ムダにしてしまうような気がした。


土曜日は緊張していたせいで早くに目が覚めてしまった。
半身浴を済ませタカヤの迎えを待っていた。

パーティでの立ち振る舞い方もわからないわたしが、タカヤと同伴なんて。
本当に、わたしでよかったの?
考えれば考えるほど不安になってしまう。

逃げ出したい気持ちになりながら、彼の迎えを待っていた。


そして、午後の三時を過ぎた頃、ようやくタカヤが迎えに来た。

タカヤは、いつもと変わらない質の良さそうなスーツを着ていた。

「悪い、遅くなった。ナツ、おいで」

まるでペットでも呼ぶようなタカヤの言い方に苦笑すると、タカヤは「ごめん」とでも言うように、わたしの頭を撫でた。

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