ラブレターを君に
理音は、自分で選んだ曲を、最後に弾いた。母の驚く顔が、視野に入ってくる。



そんな母を恐れる事より、今日…今本当に、カズが…迎えに来てくれるのだろうか!


どうか…神様この曲が終わるまで…

あの、醜い大人の渦に巻き込まれてしまう前に…



私をこの蟻地獄の世界から助け出してください!



いいえっ!あんな約束が、そんな簡単に守って貰えるはずは無い……



「パターン!」
大きな音と共にだれかが、入って来たのか…



人々のどよめきが理音の耳にも届いた……



理音のピアノも…
終わりを迎えた……何時もなら、拍手喝采を浴びるはずであった。



理音が立ち上がり前を向いた…




すべての人々が二人に注目していることは、二人にとっては、どうでもよかった。



(kazu)
「理音…迎えに来た!行こう!」



(理音)
「………来てくれたんですね?……」



(kazu)
(フランス語で)
「☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆」(訳僕のような男では、不満ですか?)



あまりに流暢なフランス語にびっくりしながらも…




理音も、フランス語で、返事をする。
「☆☆☆☆☆☆」(訳‐いいえっ、私は、貴方を待ってましたから!)



二人で手を繋ぎ、岩崎夫妻の前まで歩いて行く。




(孝志)
「君は、自分で何をしでかしてるのか分かってるのか?」



(kazu)
「明日朝、8時まで、必ず家に帰って来ます。お許しください!」


二人に向かい礼をする。が、返事がもらえない。



カズは、再びフランス語にて、話しかける。



(kazu)
「☆☆☆☆☆☆」(訳‐お嬢様をもっと自由に羽ばたかせてあげれば?)



岩崎は、いきなりのフランス語に、驚きを隠せずにいた。言葉にならない。
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