エリート医師に結婚しろと迫られてます

彼女の様子を見て、思わず笑ってしまう。


「嫌みな女ね。なににやにや笑ってるのよ。鍵を持ってたら、さっさと中に入れてよ」

笑ったのは、同じデパートの紙袋を持ってるからだ。
鍵を開けるために待ってたからじゃない。

私と同じデパートに寄ったということは、同じターミナル駅を通り、立ち寄る先も同じになったらしい。


「えっと…」それなら、挨拶は省略と。


「何よ、あんた鍵、持ってるんでしょ?さっさと開けてよ」
いきなり、命令しだした。


「ダメですよ…そんなの」



「あんた、中見たんでしょ?」


私はぎょっとした。
もしかして、お宅もビーフシチュー?

ビーフシチュー、かぶったかな?


なんでばれたの?まさか売り場にいたとか?

「中身?…あなたのなんか見てませんよ」


「見てないわけ無いじゃないの。ねえ、どんな部屋?」


私は、目を丸くした。
「何だ、部屋か。普通だと思います」



「普通のわけないでしょ?どんなふうにまとめて、どんな家具を置いてるの?」


「インテリアに興味があるなら、ショールームに行けばいいでしょう」
私に説明させようってのが間違いなんだから。


「あんたって、結構意地悪ね」

< 222 / 336 >

この作品をシェア

pagetop