エリート医師に結婚しろと迫られてます


自宅のリビングのテーブルには、

『ヒロ君へ欲しかったらあげるよ』

とメモが残されていて、メモの下にはアルバムが数冊置いてあった。



「あった。これだよ」
彼は、そのうちの一冊を手にとって、パラパラとめくり、写真を確かめると私に差し出した。


私は、それを受け取って、中を見た。


写真は、もちろん見たことがある。海岸で父が撮ったものだ。

小学生の真理絵と2人で並んでる。フリフリの水着でやっぱり可愛らしい…


森谷さんが、上から私を見下ろしてる。


「ん?」


「あの…それ見ても、何の感想も無いわけ?」


「懐かしいわよ。真理絵と2人のツーショット」



「その横に写ってるだろ?」


「とんび…」


「鳥じゃない、人だ」


「人なんて写ってないわ」

背後に写った海水浴客が数名…

そこへ、手が空いたからとふらっと父がリビングに入って来た。

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