エリート医師に結婚しろと迫られてます
「私も同じもので」
慌てて答えた。

jazzが流れていて、店の中も適度に
雑音がして、会話が途切れても、
それほど気にならない。


「あの…」

森谷さんは、さっきから、
黒ビールを少しずつ飲みながら、軽く握った拳を口元に当てて何か考えてる。

あまりしゃべらない。

しゃべらなくても、男前だから、
そこにいるだけで、絵になるけど…

首から肩にかけてのラインが素敵。
横目で盗み見てると、薄いセーターのVネックから鎖骨がちらっと見える。

まっすぐ前を向いてても視界に入ってくる。
首がどうしても、彼の方を向いてしまうのかも…


さっき、頼んだビール美味しいですね。
と言ったきり、会話がない。


先ほどの、失礼な振る舞いを思い出して、静かに怒りを震わせてるとか…


それなら、すぐに家に帰って、
ベッドにもぐり込んだ方が、
こんなところで、悶々とするより、
だいぶ健康的だと思いますよ。


まあ、そんなこと、ドクターなんかに
意見しようものなら、軽くにらまれて、ふっと笑われるだけだろうけど。
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