ウソつき彼氏とニセ恋愛




「……大丈夫だよ、俺が守るから」



スッと心の中に入ってきたのに、
ちづちゃんと弘乃くんのことを考えてしまう。



……3人には、迷惑をかけたくない。



でも、昴くんと離れたいとも思わない。



一体どうすることが、正解なの?
何が正しくて正しくないのか、分からない。



「千夏ちゃん……?」



「………うん」



「別れるなんて、言わないよね?」



昴くんの声は震えていて、
すごく悲しんでいる表情だった。



言わないよ。



そう言いたいのに、
声が出なかった。



なんとか出たのは……



「……うん」



その一言だけだった。




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