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3章 雨の日の出来事

憂鬱

Wデートから二週間後。季節はすでに五月になっていた。

「可愛いなぁ…」

友達と仲良く話す美紀を見てふと呟いてしまった。俺は慌てて周りを見渡す。よし、誰も気付いてないな。俺はホッと胸を撫で下ろす。

「誰が可愛いの?」

「うわっ!!」

突然の声にびっくりして俺は椅子から滑り落ちてしまった。クラス中の視線を浴びてしまった。

「動揺しすぎ」

そういう静香はニヤニヤしてる。

「きゅ…急に声かけんなよな!!」

「百合菜見てたの?」

「違うよ」

あれ以来、百合菜ちゃんとは話してないんだよな。何かお互いに恥ずかしいんだよな……。

「美紀?」

俺の心臓がビクッと動く。

「図星か…」

静香がため息をつく。

「俺は…その…」

「百合菜から美紀にくら替えしたの?」

そういう静香の顔は曇っていく。

「べ…別にそんな訳じゃあ……」

「あんたと美紀仲いいもんねっ」

「そう見える?」

「そう見える」

間髪入れずに返された。

「翔…それに二兎を追うものは一兎をも得ず…だよっ!!」

静香はそう言って自分の席に戻った。自分の中では、一兎を追ってるつもりなんだけどな……。
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