告白よりも、ときめきを

「…ところでさ、男共は、仕事熱心なのか、まだ誰も結婚して無いんだよね」

「山崎君や竹内君は人気があるから、中々結婚となると大変そうだけど、田島君達はいい人見つけて、とっくに結婚してるもんだと思ってた。それとも、もういい人居るのかな」

「それから…、明璃も。もうそろそろ身を固めてもいいんじゃない?」

「そうそう。どうなの?」

「無理。私は結婚に興味が無いんだよね…。多分、不適合者なのよ。恋愛もしなくていいと言うか、無理っぽいし…」

「どうして?好きな人と一緒に居たいとか思わない?」

「…思うから無理なの。好きになり過ぎて、失ったらと思うと、だから、ずっと一人がいい」

「子供は?好きな人の子供、欲しいと思わない?」

「…子供は、可愛いと思うよ。でも、望んでも難しい事もあるでしょ?誰もが当たり前に妊娠出来るかなんて解らないし…」

「それはそういう場合もあるけど…」

「はいはい、明璃はとにかく考え過ぎなの。失ってもいいのよ。我が儘を求めてもいいの。お互いぶつかり合う事もある、必要。
それで駄目な相手は駄目なんだから。駄目って事は、その人が自分とは合わない人だって、解る事も出来るって事よ?
自分を見せても無く、ときめきだけあればいいなんて言って、恋愛しないのは寂しい考え方だよ?
つき合って長くなったら、最初の凄いときめきとは違うかも知れない。でも、人として深め合えるし、信頼して、段々愛しむ心が芽生えて来るモノだと思うのよ?」

「ドキドキする相手が居るなら先に進んでみるべきよ、ね?冷静な恋愛って無いのよ?
ヤキモチ、嫉妬、して当たり前、好きなんだから。
ドキドキだけあったらいいなんて、それはさ、私達みたいな結婚した人間が、素敵な人にちょっとだけ楽しませて貰う感情だよ」

「…」

「お~い女子達~。取り敢えず、乾杯を終わらせてから話し込んでくれ~」

「ごめ~ん、そうね。あっち、寄ろう」

「つい、止まらなくなっちゃった、ごめん」

「そう、ついね?だって久し振りだし、ねぇ」

グラスを手に集まった。

「んん。準備はいいですか?
では、俺達みんな、これからもずっと、仲良しの同期という事で、乾杯!」

「かんぱ〜い!!」

それぞれにグラスを合わせた。
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