告白よりも、ときめきを
・どうした急に

パンパン。一輝が手を叩いた。

「は~い、注目。
宴も“それぞれに"たけなわですが、時間です、ボチボチお開きにします。
良いですか~?主婦の方~。
真っ直ぐ帰ってくださいよ~。ハハハ。
ちゃんとしてくれないと、同期会の評判が悪くなりますからね~。次回開催が難しくなりますよ~。
あと、特に二次会はありませんよ~。これから後は各々で、…自由に、です。
以上、は~い、解散」

一輝の締めで、全員そろっての同期会も終わった。

10年単位なら、次は42歳か…。
あるのかも解らないし、5年後になるのかも知れないし。
…独身でもなくなれば、揃って出席というのも難しくなって来るだろうな。

家庭のある人間は、子供が居ればその成長が糧になる。
今は自由な俺達も、確かな糧になるモノ、何か欲しくなって来るはずだよな…。


奥様二人は帰って行った。

「お前ら真っ直ぐ帰るのか?」

店の外で奥田達に声を掛けた。

「俺らか?」

「ああ」

「帰るさ。なあ?」

「おお」 

「ああ、帰る。じゃあな」

「真面目だな~」

「いや、そんな事も無い、な?」

「おお」

「…俺ら、これでも今からデートだから。三人で、じゃないぞ?
誤解するな、それぞれにだ。じゃあな」

……。

「…じゃあ、俺も帰るよ」

「一輝が帰るなんて…、大人しいのは珍しいな」

「フ…そんな日もあるさ。じゃあな。お疲れ」

「ああ、お疲れ。幹事、ご苦労だったな。サンキュー」

「うぃっす」

あっという間に店先で明璃と二人になった。

「……一気に静かになったな。明璃は?帰るなら送るぞ?」

「…」

「明璃?どうするんだ?」
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