HE IS A PET.
PET
 ある日親友が言った。

「ねえ、咲希~。ペット、預かってくんない? 二週間だけでいーから」


 プライベートで頼み事をしてくるなんて珍しいアズミンの、珍しくへりくだった態度に、私の嫌な予感が働いた。


「アズミン、そのペットって種別なに? 生物学的にいって」


「霊長類。ヒト」


「…………」


「あれぇ。反応薄いなぁ~何でぇ? もっと驚くと思った」


 くっきり縁取られたアイラインをパッチリ見開いて、アズミンはがっかりした声を出した。


「あいにく薄々勘づきましたから。アズミン女王様のペットは可愛い男の子(犬志願)、想像が容易くて恐ろしいです」


「やだ、咲希ったら。(かっこ)で喋んないでよ」

 アズミン女王は眉を潜め、煙草に口づけた。


「結論から言うとですね。そのペットくん、預かれない。知らない雄といきなり一つ屋根の下なんて、無理に決まってんでしょうが。一般女性の平均的な感覚としては」


「一般女性の平均的な感覚? そんなつまんないもんを指標にしてたらさぁ、つまんない人生しか歩めないのよ。そういうの、逆にあたしは無理だわ。退屈すぎて、生きてても死んでるみたい」


 アズミンは世の終わりみたいな顔をして、白い煙を吐き出した。



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