あなたの大切なひと

私の部署では、内示が出ると、該当者を呼び通達する作業があるため、この日は忙しかった。

そんな時、携帯がなった。

なんと、竹本からだった。
「俺、そっちに異動って内示がでた」

私は、庶務課から出る人をピックアップするのに集中していたので、来る人まで気が回っていなかった。
電話で初めて知ったので、びっくりした。

果たして、こんな大人数の会社で、二回も同じ部署になることが、あるものか。

異動に伴う作業に追われながらも、動揺を隠せなかった。

すでに私は、忘れていたはずの竹本への想いを、はっきりと形にしていたのだと思う。

でも、現実は、竹本は３ヶ月前に結婚しており、私は要と遠距離恋愛をしていた。
そろそろ、私達も結婚という話が出るだろう。