プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「受けて立ってやるよ。
来年だ、来年の夏までに力つけて......

俺は銀月館のエースをとる」


腕をつかまれたまま、裕貴の方を振り向けば、裕貴の目は静かに、けれど確かに熱い闘志を秘めていた。


「天下の銀月館のエースとは、ずいぶん大きく出たんじゃない?」


全国から選りすぐりの部員が百人以上いる銀月館では、レギュラーどころかベンチに入るのも至難の業。

その銀月館で控え投手どころか、エース、背番号1を二年生でとろうなんて、一輝くんと同じぐらいぶっ飛んでいる。


「ハナからそのつもりだ。
エースとらなきゃ、なんのために銀月館入ったんだよ」


テレビの音も消え、静かになったリビングで、裕貴の目はやっぱり熱い決意を秘めていて、こいつが本気で言っていることを悟る。

それでこそ、あたしの弟よ。


「さすがあたしの弟ね。
甲子園で会いましょう」

「ああ、絶対上がってこい。
その一輝って男がどんな男か、俺が見定めてやるよ」


こうして、未来のダーリン一輝くんを勝手に賭けに使って、絶対に負けられないあたしたちの姉弟対決の火蓋が切って落とされた。


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