プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
練習後、目指せ!甲子園と書かれた紙が貼られる部室を見て、部員が入ってこないのはきっとこれだ、とうなずく。


「ねぇ、一輝くん。
いきなり甲子園とか言い出すから、みんな引いちゃうんじゃない?星ヶ丘に真剣に野球やりにきてる人もそうそういないでしょ、そんなやつらに甲子園なんていっても引くだけ。甲子園はいったん封印したら?」

「そいで、どがんすっとですか?」


いきなりの甲子園封印宣言に、二人きりの部室で一輝くんは戸惑ったようにあたしを見る。


「もう夏の予選までそんなに時間がないし、まずは部員入れなきゃ話にならない。部活に入ってから、甲子園目指す気にさせれば良くない?」


こうよ!と、筆ペンで"目指せ!甲子園"と可愛いげのない達筆な文字で書かれたポスターを破り捨て、カラフルな色ペンで新しいものを書き出す。


一輝くんはあたしがポスターを破り捨てようとしたのをあわてて止めたけど、甲子園行きたいならあたしに任せてと言ったら、黙ってあたしの行動を見守った。

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