プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「にっしーは戻らないの?授業」

「あー......あたしはいいや。
なんか授業受ける気分じゃなくなった」


どうせ坂本の授業だしね、と肩をすくめると、みのるはあたしの両手を掴み、それをきゅっとにぎりしめた。


「それなら、僕もいるよ。
ここにいる」


みのるは気づいてたのかな、本当はあたしの手が震えてたこと。平気なはずなのに、なんでもないことなのに、やっぱり少しだけ動揺してたこと。

冷たくなった手を握られて、それからマウンドにいるときみたいな熱い目で見つめられて、とっさに目をそらしてしまった。


なんなの?
友達、のはずだよね?あたしたち。


「......あたしとこんなことで二人でいるの見つかったら、また誰かに噂とかされない?みのるまで悪く言われるかも」

「別にいいよ。誤解されて困るような人もいないし、彼女もいないから。

にっしーこそ、一輝に知られたら......。
やっぱり今日のこと話した方がいいんじゃない?
僕だけが知ってて、一輝が知らなかったら、あんまりいい気はしないだろうし」


一輝くんのことをしつこく気にかけるみのるに、それだけはないときっぱり否定した。


「一輝くんは、あたしとみのるが二人でいても誤解したりしないよ」


他の男ならまだしも、チームメイトのみのるとあたしの仲を疑ったり、ヤキモチを妬いたりってのは、一輝くんに限ってまさかないよね。


「......それもそうだね」


一瞬間があったのが気になったけど、みのるもあたしの言葉に納得したのか、すとんとマットの上に腰を下ろす。

あたしもみのるの横に腰を下ろして、それから部活が始まるまでの間、ほとんど会話もすることもないままに二人で過ごした。

全然沈黙も苦じゃなくて、ただ誰かがそばにいてくれるというだけで不思議な安心感を感じながら。
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