プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
そして......、裕貴の一輝くんへの投球数が十球をゆうに超えた頃。

あ、狙いめ。
すっぽぬけたのか、もともとそのつもりなのか、高めの甘いコースに打ちやすそうな球がきた。

待ってましたとばかりにスイングした一輝くんだったけど、そのバットは球にかすりもせずに豪快に宙を切る。


「ストライク!ゲーム、セット!」


審判にそれを宣告されると、何とも言えない表情でバットを下げてその場に突っ立ったままの一輝くん。

対照的に今日一番の満面の笑みを浮かべて、マウンドの裕貴のもとへと走っていく秀。

その全てがスローモーションのように見える。


いつのまにか銀月館の校歌が流れていて、それを泣きながら聞く部員たちの背中を見ているうちに、自然とあたしも涙を流していた。
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