プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
最後、か。
確かに甲子園での勝負はもうできない、でも......。


「最後じゃないよ」

「え?」

「甲子園で秀と勝負できるのは、今年で最後だったけど、まだ終わってない。

一輝くんさえその気なら、これから先、秀と勝負するチャンスはいくらでもある」


もしもこの先を望む強い気持ちがあるなら、プロ野球、メジャーリーグ、グラウンドを変えて勝負できるチャンスは絶対にいつかどこかで巡ってくる。

そんなことムリだって、少年漫画の見すぎだってみんなに笑われても、一輝くんがそれを望むなら、あたしだけはそれを信じる。

あたしは、一輝くんを信じてる。


「ありがとう」


あたしの言いたいことが伝わったのか伝わってないのか分からないけど、歯を見せて笑ってくれた一輝くんに心が満たされていく。すき。


「一輝くんすき。だいすき。
部活引退しても、卒業しても、ずっと一緒にいる。
一輝くんの行くとこになら、どこにでも追いかけていく」


高校は一緒でも部活を引退したら、確実に今までよりも一緒にいる時間が減る。卒業したら、もっと。

でも、絶対一輝くんから離れない。
だって、一輝くんから離れるなんて、ムリだってはっきり分かったから。

一歩間違えたらストーカーまがいのあたしに、一輝くんは満面の笑顔を見せたあと、ぎゅっと強く抱きしめてくれた。


「俺も。たぶん、ずっと気持ちは変わらんけん」


あたしを満足させたあとに、一輝くんは少しの間黙りこんでから、あたしの体を離すと、こう言ったんだ。

プロ注目、将来有望な秀を振って後悔しない?って。


「ちょっともったいなかったかもね。
でも、いいの」


思っていたのと違う答えが返ってきたのか、ちょっと驚いたような顔をした一輝くんのそばに寄り添う。

それから、その手をとって、にっこりと笑った。


「だって、一輝くんもメジャーリーガーになってくれるんでしょ?」




(おわり)

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