シュールな関係
複雑なる交差点
晴人と約束をした数日後、


わたしは大和のお金をを持って彼の行きつけの

「ブランドール」の扉を開けた。




11月にも入ると日が暮れてるのも早い


辺りが暗くなると肌にまつわるような冷やりとした寒さが

身に張り付いて付いてくる。


まだ7時過ぎだけあってカウンターに若い男性客が

一人で飲んでいるだけ。



「いらっしゃいませ 今日もお約束ですか?」


「いいえ 一人です」


「お好きな場所におかけ下さい」




グラスを磨くマスターが

親しみのある優しい微笑みで話しかけてきた。



「あの・・・・

先日はご迷惑おかけしました

今日は飲みに来たのではなく―――



不躾なお願いですが 

この封筒、大和さんに渡していただけませんか?」




そんなに都合よく店に出くわす訳がないし、携帯のデーター

も消去してしまい連絡手段する手段もない。


頼りになるのはここだけ

以前にバイトをしていて今は常連らしい。



本来ならば直接大和に渡すべきだけど無理だから

マスターにお願いするしかない。



「いいですよ 確かにお預かりします」


マスターがわたしの封筒を快く受け取ってくれる。



「今日は元気ないですね


どうかなさったのですか?」


マスターから見ても分かる?


最近、色々難解なことがあって大変なのよ



「人生って複雑ですよね―――…」


「だからこそ面白いのですよ」


マスターはソフトで上品な口調で答えた。


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