片腕のピアニスト



「おい!翼!」


「んー?なに?」


「なんでお前の荷物が片付けられてんだ!!?お前が掃除とか頭可笑しくなったのか!?」
「疑問点そこ!?俺だって掃除ぐらいするよ!」


私立白峰高校

全寮制お嬢様、御坊ちゃま学校。
だが中身は、親の監視から逃れた奴らがそこそこ好き勝手過ごす場所。

先生はいい人で、それらを黙認してくれている。


だから、俺みたいな煩いのとか、翼みたいな元気な奴がいても全然おかしくない。
【如月笑.kisaragi-emi】
【鈴江翼.suzue-thubasa】



「あ、そうそうエミ。
今日俺らの寮室に転入?編入生くるんだってー。」

だからこんなに片付いてんのか。

「どんな奴なんだ?」



「えっとねー。なんかもっさいやつで、暗い感じらしいよー。」

「まじかよ…。俺らの所に来て大丈夫か?」

「わかんなぁい。」


自分で言うのは死ぬほど嫌なんだが、俺らは出待ちされる程度にはモテる。

とはいえ、恋愛とかじゃなく動物系の可愛いだけどな。



まあ人に好かれて悪い気はしていない。


この寮は3人部屋なのだが、俺らと一緒になるやつは絶対に悲惨な目にあうので、(悲惨な目については、ご想像にお任せしたい)先生も避けていたらしい。

だから俺と翼は大体2人部屋だった。


もともと3人用だし部屋はとてつもなく広いので快適だったが、少しつまらない感じはしていた。


誰かに好かれるのは良いことだが、度をこしすぎていて困っているのだ

俺らと一緒になったせいで誰かを傷つける
目に見えた未来だ
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