親指姫な彼女と普通の俺
翌日 朝目覚めると
'服が出来た いっちょあがり'
というメッセージと共に 完成した服の写真が来ていた

「うおお~ すごいクオリティ」

そこには手作りとは思えないワンピースが写っていた
緑色で白いフリルが可愛らしい


「はぁはぁ…おはようございます 太陽君」

ベッドの布団をよじ登り、息を切らしてシュシュがとことこと枕元へやってきた

「お ちょうどいいタイミング」

「?」

携帯の画面を見せるとシュシュは感動したようだった

「まぁ!素晴らしいです!」

くるくるとその場で回っている

「シュシュに絶対似合うよな」

「え!そ そうかなぁ うふふ」

照れたように笑って
シュシュは太陽の顔をじっと見つめた

「?どうしたの」

「あのね 海斗さんのワンピースも嬉しいけど… でも」

「でも?」

「太陽君がくれたケーキとあなたの言葉はそれに負けないくらい 嬉しいの」

豆鉄砲でも食らったかのように
太陽は驚いた顔でシュシュを見つめた

「生まれてきてくて ありがとうって言ってくれたから 私…」

微笑んで指先で頭をちょこちょこと撫でた

「…ありがとな 優しいな」

「いえ!あの その…ほんとのことだから」

「ははは お前を変な植木鉢に入れなくてよかったよ」

「…?」

姫の言葉に心が和んだ

(ありがとうな 親指姫)

海斗のように喜ばせられるかと
どこかで不安になっていた気持ちなど
もうどこにもなかった





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