生徒会長が私を好きな理由
ジーーー…


本日2回目の更衣室で学校のジャージに着替えた私は、チャックをしめたあと荷物を持って廊下に出る。

あれからずぶ濡れになった一柳くんと私は、すぐさま更衣室に直行。下着まで濡れてしまった私は白学に常備されている下着をもらって着用し、こんな最低学校でもそこだけは感謝して胸の中で手を合わせた。





「お待たせ~」


廊下に出ると一柳くんがもう着替えを済ませていて、つくば高校のジャージ姿だった。私達はお互いの格好を見合うと思わずプッと吹き出してしまう…





「白学でこのジャージは合わないね~」

「全くだ。早く帰ろう」

「そうだね」


私達は逃げるように白百合清蘭学園を後にすると、正門を出た辺りで私のスマホが震えた。画面を見ると海音からのLINEだった。




「海音が生徒会メンバーで今ファミレスにいるから来ないかって~一柳くんどうする?」

「悠生でいい」

「え…」


スマホを見ながら隣にいる一柳くんに問いかけると、違う答えが返ってきて思わず足を止めてしまう。





「…呼び方、悠生でいい。俺も亜香莉って呼ぶ。いいだろ?」

「え…ぁ…はい」

「じゃあよろしく」


そう言って先にスタスタと歩く一柳くんの背中を見て、私は一瞬海音からのLINEの内容を忘れてしまった…



今日1日で一柳くん…いや悠生とすごく近づけた気がする。

それに私だけじゃなくて、悠生からも私に近づいてくれたと感じていた。


昨日よりも…悠生が好きになってる。

明日はきっと…もっと好きなんだ……






「置いてくぞ。ファミレス行くんだろ?」

「…あ、うん!待って~」


私はすぐに悠生を追いかけた。




「えへへ♪」

「何だよ」

「別に~」


思い切って悠生の腰に手を回してみたら、拒否すること無くいつも通りに振舞ってくれる…






「変な奴…」


ふっと鼻で笑う悠生はどこか優しくて、また距離が縮んだ気がした。


恋愛はまだまだだけど…

私達の友情は深まったかな?


まだ友達でもいい。

悠生の中で一番の友達になりたい。


そしていつか両想いになりたいな…

勉強もスポーツも出来なくていいから…



悠生の一番になりたいよ。
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