生徒会長が私を好きな理由
我ながらかなり積極的なことしてるのはわかる…でも悠生の場合こっちから仕掛けないとラブな展開は訪れないかも…




ググ…


「いててててて…」


寄りかかっている私の方に体重をかける悠生は、私に背中を押し付けるような体制を取り私は横に倒れながら重さに耐える。

こんなのラブラブな展開にならないよね…うまく行かないな。





「さすがに疲れたな」


読んでいた本をパタンと閉めると、悠生は私の隣にドカッと座る。いつもより距離が近い気がして胸がドキッと高鳴った。




「お疲れ様。今年の三年生気合い入ってるから卒業式は大変だね」

「まあな…嬉しいことであるけど色々ありそうだ」


悠生と会話をしながら目が行くのは、制服の胸ポケットの部分に光る生徒会バッチ。私もつけている色違いのそのバッチを見る度ににやけそうになる…





「でも生徒会の仕事は楽しい。お前と一緒だし」

「え…」


目を背けてぼそぼそと言う悠生の言葉に、私は気がついた。2人きりになれなくても悠生と一緒にいれる時間はたくさんあった…

学校でも同じクラスだし生徒会も一緒…普通のカップルよりも一緒にいられている方だというのに何を寂しくなっていたのか…

やっぱり両思いになるとどこか欲張りになってしまう…恋って本当に難しいな。






「そうだね!私も悠生と一緒だから生徒会すっごく楽しい。いい卒業式になるように頑張ろうね!」


素直な思いを伝えた。ここで恥ずかしがっていても私の気持ちは伝わらないと思ったから…





「亜香莉…」

「ぁ…」


悠生はこっち顔を近づけると私の唇を塞いだ。まだ3回目くらいのキスだけど…今までで一番大人のキスに近い…唇に何度かキスをした後で段々と口の中に入ってくる感じ…こんなのは初めてだ。

毎回違うキスにドキドキしてしまう…

そしてもっともっと…悠生が好きになってしまうんだ…





「やばいな…」

「何が?」

「会長が生徒会室でこんなことしてていいのかなって…」


唇を離した後で真面目な生徒会長の顔に戻る悠生に思わず笑ってしまうと、悠生は「ま、いいか」と言ってフッと笑った。




「…こんな事してると癖になりそうだな」

「……バカ」


もちろんSの顔も時々覗かせる。そんな悠生がきっと好きなんだと思う…


これは後で聞いた話だけど…

電話を終えた田村くんと買い出しから戻って来た海音と本間くんが、私達のイチャイチャぶりになかなか生徒会室に入れなかったらしい。

私と悠生は反省したが皆は笑ってくれた。





何も知らなかった生徒会に入って恋をして…

場所もわからなかった生徒会室で仲間と絆を深めた…



会長が私を好きになった理由はまだ聞けてないんだけど…

一生かけて聞き出してみようかな♪




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