繋いでくれた歌【完結】

「あ、あー、んんっ、あー」


ここはケーの病室。
相変わらず、ケーは眠ってるようで見る度に泣きそうになった。


だけど、私は決めたんだから。
約束の一年が過ぎて、私は再び歌い出した。


もっと世間の反応はシビアかと思っていたけど、待ってくれてたファンが多くて私の出したCDはすぐに話題になった。



その中にはあの曲も入れた。
もう絶対歌うことはないと思っていた、あの曲。



≪名前も知らない君へ≫




私はあの日と同じようにギターを弾いて、レコーディングをした。
オリコンで初登場一位になり、私はまた嬉しさから涙を流した。



忙しい毎日が戻ってくる。
だけど、ケーの元へは出来るだけ毎日通った。


この時間は私には大事だから。



「あ~、えっと、ワタシとアナタ」



花を換えながら私は口ずさむ。
もちろん、その曲は≪名前も知らない君へ≫だ。



私が歌い出しだその時、声が聞こえた様な気がした。


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