好きっていうまでは

「なにしてんだよ。手なんてつないで」

神木くんが来た。少し怒った顔をしてた。

「陽輝、どういうつもりだよ…」

「悪かっ…」

「違う。陽輝が悪いんじゃないよ。

陽輝は私を、慰めてくれたの。」

「慰める?何かあったのか?」

「なにかあったよ。好きな人が、ほかの子と抱き合ってるところ見ちゃったの。

そういうことって、テレビとかの世界だと思ってたけど、

実際に見るって、本当に辛い。」


私は、怒るとかはできなかった。

自分自身に自信があったわけでもないし。

美佳ちゃんに負けちゃうのも、しょうがないのかなって。

「違う。あれは、そうじゃなくて」

「私は怒ってないから…気にしなくていいよ?

美佳ちゃんは美人だし、仕方ないと思う。

…今日は、もう帰るね」


私は、荷物を持ってパーティールームを出る。
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