好きっていうまでは
「ありがと!芝ちゃん、説明上手いよねー」

あだなは、まぁ芝ちゃん。

芝泰の芝をとって、芝ちゃん。



キーンコーンカーンコーン。


放課後、私はただ真っ直ぐ家に帰る。

いわゆる、帰宅部。

部活には入る気はなかったので…



「芝泰、黒板だけ消してってもらえるか?」

担任の秋茂道亜[アキシゲミチツグ]先生はそう言って教室を出ていった。


ま、いっか。黒板くらい。

消しにかかるけど、少し上の方にあるのが届かない。

あー。恥ずかしい。


背伸びをしてもわずか数センチ届かない。


よし、ジャンプしたらとどくよね。

ジャンプしかけたその時、すっと黒板消しを取られた。

その、黒板消しを持った手は、そのまま黒板の、

白い文字をサッと消した。
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