さよならリミットブルー

これから始まる未来への序奏


太陽の日差しが反射して、海を明るく照らしている。

キラキラと輝く水面はまるで宝石箱のよう。


「うっわぁ……こんなに綺麗な海、初めて見た………」


鞄からスマートフォンを取り出して1枚写真を撮ってみたが、あまり良い出来とは言えない。

うーん、写真だとキラキラさが足りないなぁ……。


「はぁ……なんで今日に限ってこんなに暑いんだ」


海を見つめるわたしの隣で、ぶつぶつと不機嫌な声が耳につく。

チラリと隣を見れば、深いため息をつく彼ーーー。


「暑すぎて溶けそう……」


そう、碧人くんだ。


「も〜、碧人くんのために来たんだよ?もっとシャキっとしてよね」

「それはわかってるけど………」


どうも碧人くんは気分が乗らないらしい。

椅子に座ったまま立ち上がろうともせず、眩しそうに太陽を見上げている。


たしかにこんな暑い日に外に居るのは辛いかもしれないけど、そんなことを言っていられないのが現実だ。

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