さよならリミットブルー

「ーーまた、同じ夢」


カーテンの隙間から入り込む太陽の光に気がついて、目が覚めた。

焦点が定まらないぼんやりとした曖昧な瞳は、真っ白な天井を映し出している。


さっきまで見ていた夢と同じ色。


頬を軽くつねってみた。


「……痛い」


どうやら現実で間違いないらしい。

夢の中だと直接的な痛みは感じないのに、間接的な痛みは苦しいほどよくわかる。


頬をつねっても痛くはないけれど、胸は締めつけられて呼吸をするのが精一杯なほど。


ずっと眠り続けていたせいで、感覚がおかしくなっているのだろうか。


「起きたばかりの今じゃ、よくわからないな…」


俺は交通事故に遭ったあの日から、ずっと眠り続けていたのだと担当の先生から聞いた。

確かに体はだるいし、頭は痛いしで、先生の話をすんなり受け入れることはできたけれど、どこか腑に落ちない自分がいる。


突然すぎる出来事に頭がついていけてないだけなのか。それとも何か別の理由があるのか。

何度繰り返し考えても、明確な答えには辿り着けなかった。
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