さよならリミットブルー

わたしは、少しでも日野くんの役に立てたのかな。

日野くんが認めてくれたんだと、思ってもいいのかな。


「わたしも日野くんの記憶が1日でも早く戻れるよう頑張るね!」

「さっきまで泣いてた人には無理なんじゃないか?」

「なっ、泣いてないから……!」


「はいはい」と呆れたように笑う日野くんは、なんだか楽しそうに見える。

これから先、辛いことが待っているかもしれない。それでも前を向くの。


「ーーーねぇ、碧人くん」


「なっ……急になんだよ馴れ馴れしいな」

「友達だもん、名前で呼んでいいよね?もちろんわたしのことも芽衣子って………」

「呼ばない」

「えぇっ………」


優しいのか優しくないのかよくわからないや。

今までの「冷血男」は人を寄せ付けないための演技なのだろうけど、今もそう変わっていないようにみえる。

元々クールなのかな?

自分のことを熱く語ってくれた碧人くんは、いったいどこへ行ってしまったのやら。

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