男子と会話はできません

「つうか石川、急に割り込んでくるなよ」


「いや。変な虫を見つけたからさ。駆除に」


「へー。虫ね……えっ?虫?俺?」と、自分を指差して驚く。


その顔がおかしくて、笑ってしまった。


杏奈知ってるのかな?市ノ瀬くんのこと。


「あ。良かった。笑った」と、市ノ瀬くんはわたしを見た。


「えっ?」


「昨日怒らせちゃったから、笑った顔見れて嬉しい」


と笑顔を見せるものだから、ドキリとした。


「じゃあ今度は好きなやつ買ってくるから」


「はいはい大丈夫です」と杏奈が代わりに言った。


「てめーに言ってねーよ。
羽麗ちゃん、一度決めたらやり通すのが俺の主義なの。
あ、別にジュースひとつで赦してもらおうってわけじゃないよ?」
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