男子と会話はできません

「だ……大丈夫」


「指、切ってない?」と、わたしの手の甲に添えるように優しく隼人くんの手が触れた。人差し指の先が切れて、血がにじんでいた。


「本当だ」


「保健室、寄ってく?」


「ううん。絆創膏持ってるから」と、ポケットから、絆創膏を取り出して見せると、目を細め凝視した。


お気に入りのキャラクターの絵が描いてある絆創膏の包み紙が派手なせいかもしれない。


「あ、このキャラクター好きなんだ。杏奈には可愛くないとか言われるんだけどね。やっぱり可愛くないかな?」と、センスないと思われてそうで、必要のない言い訳をする。


「石川なら、言いそう。大丈夫?貼れる?」


「うん」


そう言うと、ようやく手が離れた。


急に触れられたから、正直少しドキドキした。


そんなこと思っちゃいけないのに。心の中で市ノ瀬くんに謝りながら、自分で絆創膏を貼った。
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