男子と会話はできません
21(side.H)

文化祭前日。思ったより簡単かもしれないと途中で話し合いを重ねて作り直す部分もあったけど、教室の迷路は無事に完成した。


「終わったー!」と、腕を空に投げ仰ぐ。「最後にもう一回入ってみよう」と、はしゃぐクラスメイトがひとりいれば、それに続く様に順々に迷路の中へ連なるように入って行く。


「やっと終わったね」と、隣にいた高塚に言った。外の立て看板を一緒に作ったから、最終的に中がどうなったか見てはいなかった。


「うん。でもイメージした感じのが出来て良かった」と、満足そうに微笑んだ。


「中、入ってみる?」


「うん」と、高塚も高揚したような面持ちで返事をすると、扉を開けた。薄暗いから、少し足元が危ない。


高塚は「みんなで作ったと思うと嬉しくなるね」と、歩きながら言った。


だけど少し行くと「あれ。これ、どっちだっけ?」と立ち止まる。おかしくて笑った。さっきまで自分達で作ったんだから、迷子になるわけないよね、なんて言っていたから。
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